作業用模型から咬合床の作り方
前回は精密印象
さて、前回は精密印象採得を行い、石膏を注ぐところまでやりました。
ここからの続きをやっていきます。
ボクシングから外してトリミングを行った作業用模型は以下の様になっています。
リリーフ
前歯部にフラビー、正中口蓋部に口蓋隆起が認められますので、ここをリリーフする必要があります。
私は厚みが0.25mmの板おもりを重ねることによってリリーフ量をコントロールするようにしています。ワックスでリリーフすると流蝋時になくなってしまうので意味がありません。
板おもりは釣り具屋さんにいけば購入できますが、私は面倒なのでamazonで購入しています。4m買えば、正直普通の人なら一生もつかもしれません。一応amazonへのリンクを設定してきます。
この板おもりをハサミで切って整形します。
口蓋部は今回1枚で、フラビー部は2枚重ねて製作することとしました。
整形した鉛箔はアロンアルファで接着します。
貼り付けたら、板重りのエッジを彫刻刀の後ろの耳かきで段差を潰します。その後さらに外周をワックスで焼きつけて剥がれないようにします。
その後小体部や模型外周などをワックスで保護します。保護しないと基礎床を外す際に模型が破損する事があります。
基礎床を圧接します。診療の合間にやってるので私は圧接したら半日ぐらい放置してます。すぐに撤去すると変形しそうなので嫌なのです。
蝋堤設置
基礎床が硬化したらトリミングして蝋堤を載せます。
上顎は前歯部のリップサポートが非常に重要です。リップサポートが足りない場合唇側にワックスを盛る必要があります。非常に面倒くさいです。ですので私は予めある程度前に出して蝋堤を設置します。削るのは早いですから。
この症例の場合、下顎前歯部に残存歯があるため、それよりも外に出すことを意識するためにより出しています。犬歯部は結構張らせないといけません。
注意したいのはリップサポートは切縁部で決まるわけではなくて矢印ぐらいの位置の豊隆で決まります。なので、ここに蝋堤がしっかり設定されていない咬合床はリップサポートを誤る可能性があります。
たまに模型に近い部分の蝋堤をケチっている咬合床をみますが、それでは正確なリップサポートを診査できないのではないかと思います。
また、仮想咬合平面はこの場合後ろ上がりになりますので、あらかじめ後ろ上がりに作った方が早いです。
HIP平面というものが咬合平面の基準平面としてあります。
Hは左右のハミュラーノッチ、Iは切歯乳頭となります。これを結んだ平面が咬合平面と平行になるぞ、という基準です。今回の模型ではやや切歯乳頭が高くなっており、咬合平面は模型の基底面と傾斜することがわかります。
勿論、模型の基底面をHIP平面と平行にしてしまえば、蝋堤の仮想咬合平面も蝋堤と平行にした方がよいと思います。
私はHIP平面などを模型をトリミングするときの参考にしています。
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