PEEKの特性と臨床応用(2019)
前回はPEEK材料について2016年当時の現状と展望についての論文を読みました。この論文から、PEEKはかなり歯科に適応がある材料であることがわかりましたが、ここから7年後の現在に日本で保険適応になるほどのエビデンスが構築されたかは疑問です。そのため、今回は引き続き2019年当時の物性と臨床応用についての論文を読んでいきたいと思います。なお、この論文は補綴学会のPEEK冠に関する基本的な考え方(第1報)というPDFにも引用されているものになります。
PEEK High Performance Polymers: A Review of Properties and Clinical Applications in Prosthodontics and Restorative Dentistry
E Alexakou , M Damanaki , P Zoidis , E Bakiri , N Mouzis , G Smidt , S Kourtis
Eur J Prosthodont Restor Dent. 2019 Aug 29;27(3):113-121.
PMID: 31433133
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31433133/
Abstract
Various materials have been used over time in prosthetic dentistry. However, due to the evolution of science and knowledge, new materials are being brought to the forefront. Polyether ether ketone (PEEK) is a polymer with many potential applications in dentistry. The use of PEEK has become increasingly more common in dental practice; its favorable properties have made it a compelling alternative biomaterial in restorative dentistry. The current trend is moving towards the use of metal-free restorations and biomaterials which exhibit advanced properties in the complex oral environment. This review paper presents and summarizes clinical applications of PEEK in contemporary dentistry.
過去、様々な材料が補綴で使用されてきました。科学と知識の進歩により、新しい材料が最前線に登場しました。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は歯科に多くの適応の可能性があるポリマーです。PEEKの使用は増加してきています。その良好な特性により、歯科修復における代替バイオマテリアルとして説得力のあるものとなっています。最近のトレンドはメタルフリー修復と口腔内の複雑な環境で優れた特性を有するバイオマテリアルに向かっています。本レビューは現在の歯科におけるPEEKの臨床応用について要約します。
ここからはいつもの通り本文を訳します。誤訳もあり得ますので、気になったら実際の本文をご確認ください
緒言
合金、チタン、ジルコニアは、補綴装置やインプラント修復物を製作するのに最も使用されています。最先端の研究では、フレームワークの物性を改善し、コストダウンの可能性があるハイパフォーマンスポリマーマテリアルに注目が集まっています。本レビューでは、PEEKをキーワードとし、インプラント、歯周病、補綴、矯正、保存修復などさまざまな分野を対象にPubMedでレビューを行いました。
PEEKは機械的、物理的物性が骨と類似した耐衝撃性のポリマーです。PEEKは生体適合性も有しています。in vivoとin vitroにおける好ましい知見から、PEEKは脊椎、整形外科のインプラントなどの医療用途で非常に人気があります。一方で、歯科への適用の可能性についてもここ10年超研究されてきました。PEEKの活用は、口腔内の可撤式、固定式補綴物の多くのタイプで提唱されてきました。PEEKは、従来の矯正ワイヤーよりも好ましい矯正力を発揮するかもしれないので、審美的なワイヤーにも使用されています。
物理的・機械的物性
ポリエチルエチルケトンは高性能ポリマーとして知られています。PEEKの分子鎖構成は、他のポリマーと比較して、物理的、機械的物性を向上させやすいです。物性を表1に示します。
溶解性
PEEKの水溶性は0.5w/w%であり、260℃までの温度であっても、長期間の水暴露によって化学的影響を受けることはありません。Libermannらの研究では、他の審美的なCAD/CAMポリマーマテリアルとPEEKの物理的、機械的物性を比較した所、PMMA材料よりPEEKは溶解性、吸湿が低く、硬さは同等でした。
弾性率
PEEKは半結晶構造で、結晶構造である酸化ジルコニアと比較して脆いです。PEEKの弾性率は3.1GPaで骨と類似しており、インプラントに使用するには大きな利点です。酸化ジルコニアと卑金属は、弾性率が100GPaで、もっと硬い材料です。
さらに、PEEKは他の材料を導入することで簡単に修飾することができ、カーボンファイバーにより弾性率を18GPaにまで増加させることもできます。PEEKの弾性率は骨と象牙質に近似しているので、チタンや他の材料と比べると、支台歯、セメント境界面に与えるストレスも減少させます。引っ張り強さとヤングの弾性率を表2に示します。
摩耗耐性、曲げ・引張り強さ
弾性係数がかなり小さく、軟らかい事を除けば、PEEKの摩耗耐性は合金とほぼ同等です。対合歯が天然歯である場合、レジン材料と比較して、側方力に対する摩耗耐性はかなり優れており、摩耗率はほぼ同等でした。
Schwaitallaらによる3点曲げ試験では、PEEKは一般的なプラスチック材料の最低強度(65MPa)よりも高い値を示しました。矯正での使用を考えると、PEEKは他のプラスチック代替物(PES、PVDF)などと比較して、高い曲げ強さとクリープ抵抗を示しました。PEEKの引張り強さは80MPaでした。PEEKの引っ張り特性はエナメルや象牙質に近く、補綴装置のフレームワークにも適しています。
生物学的特性
PEEK、PEEKコンポジットが生体適合性のある材料であることを示唆する十分なエビデンスはまだありません。感受性試験は陰性で、遺伝子毒性試験でもPEEKによる染色体異常は認められませんでした。細胞毒性、変異誘発性、発がん性、免疫応答性などの可能性を示唆するエビデンスは現時点ではありません。整形外科での幅広い使用も、この材料の生体適合性を提唱しています。
PEEKは骨への固定に限定された状態では、ある程度生体不活性な材料として作用し、この特性は多くの研究で研究対象となっています。インプラントの硬さとインプラント周囲の骨吸収の関係は、Wolffの法則とストレスシールド効果で説明されています。Wolffの法則では、骨密度は骨にかかる力に依存すると説明しています。荷重負担領域にかかる力が生理学的に正常なレベル以下まで減少すれば、力の減少に応じて骨密度も減少します。力の程度はインプラント材料の硬さと直接関係します。
チタンまたは酸化ジルコニア製の硬いインプラントは、骨を適切に引っ張らないために、廃用と骨吸収を起こす可能性があります。この現象はストレスシールド効果として知られ、骨吸収から最終的にオッセオインテグレーションの喪失に至ります。PEEKインプラントはチタン、ジルコニアと比較して軟らかく、ストレスシールド効果を低減することが知られています。
骨とPEEKインプラントの境界を改良するために、色々な修飾が提案されてきました。例えば、ハイドロキシアパタイトとの複合体や、チタン、ハイドロキシアパタイトコーティング、骨成長のためのネットワーク形成、リン酸カルシウムバイオマテリアルと他の修飾のコンビネーションなどです。
PEEKは、口腔内での低溶解性と低反応性により、アレルギーを有する患者のメタルに代わる材料として強調されます。PEEK椎体間ケージを埋入した患者に遅延アレルギーが起こったというレポートが1つあります。患者は、強い発赤、かゆみ、舌の腫脹、皮膚の肥厚を伴う血管性浮腫様の症状を呈しました。皮膚テストによりPEEKで陽性反応を示し、ケージの除去で症状は改善しました。
製品
医科歯科領域では、主に2つのブランドがあります。PEEK-OPTIMAは主にアメリカで使用されており、BioHPPはヨーロッパで使用されています。両製品とも修飾されたPEEK材料になります。
PEEK-OPTIMA
PEEK-OPTIMAは1999年にInvibio Biomaterial Sokutions Coが開発した、世界で最初の熱可塑性インプラント材料です。多環芳香族の半結晶熱可塑性材料で、融点~343度、結晶化ピーク~160度、ガラス転移温度~145度です。高粘度、中粘度、低粘度の3種類の天然グレードがあり、一般にポリアリルエーテルケトンとして知られています。カーボンファイバーの追加で硬さとクリープ耐性などが向上します。PEEK-OPTIMAは、現在はテンポラリーアバットメント、ヒーリングアバットメント、アタッチメント、インプラント支持補綴物のフレームワークなどに使用されています。溶解、射出成形が従来の製作法となります。CAD/CAMの場合、Juvoraディスクを用い、義歯やブリッジのフレームワークを数分でミリングすることができます。
BIOHPP
BioHPPは、Bredent GmbHにより歯科専用材料として開発されました。このPEEK材料の修飾には、粒径0.3~0.5mmのセラミックフィラーの追加が含まれます。業者によると、小さい粒径は均質性と研磨性の改善に貢献しています。射出成形とCAD/CAMが利用できます。3~4ユニットの固定性補綴物、テレスコープ、インプラントアバットメント、バーアタッチメントに関連した二次構造物(何を指しているかがよくわかりません)が業者により推奨されています。
臨床での使用
インプラントアバットメント、ヒーリングアバットメント、フレームワーク
色々なインプラントメーカーで、PEEKはアバットメントの製作に使用されています。KoutouzisらによるRCTでは、PEEKとチタンアバットメントを比較した場合、骨吸収と軟組織の炎症に有意差を認めませんでした。加えて、微生物フローラもチタン、ジルコニア、PMMAアバットメントとほぼ同じでした。
Reaらは、異なる形態のPEEKヒーリングアバットで軟組織、硬組織の治癒を比較しました。PEEKとチタンとの間に有意差を認めなかった事から、PEEKはヒーリングアバットメント材料として使用できると結論づけました。
さらに、Maté Sánchez de Valらは、インプラントアバットメント材料としてのPEEKの挙動を研究し、その素晴らしい組織反応もあいまって、生体適合性は従来のチタンアバットメントの代替となるものだと結論づけています。材料はショートスパンのフレームワーク(図1)またはall-on-4のロングスパンのフレームワーク(図2)にも使用できます。硬い材料と比較してクッション効果があるので、スクリューの緩み、または前装材料のチッピングや修理が減るでしょう。
可撤式補綴装置
可撤式補綴装置のフレームワークは射出成形、CAD/CAMのいずれかを用いてPEEKで製作できます。Tanousらは、PEEKクラスプとコバルトクロムクラスプと比較すると維持力が弱いと示唆しています。これを除くと、PEEKクラスプの維持は時間が経過しても維持されています。しかし、この研究はin vitroで行われており、著者らは、明確な結論を支持するためには、材料の臨床的挙動を評価する必要があると判断しました。同様に、従来のアクリル製と比較したPEEKオブチュレーターの有効性についても今後更なる研究が必要です。
Zoidisらは、遊離端義歯のフレームワークとしてPEEKを使用しました(図3)。金属アレルギーや、金属味、重さ、口の中の金属の不快な見た目に不安を感じる患者に適応があります。PEEKによるオーバーデンチャーのフレームワークは受容感覚を促進し、下にある歯と支持構造へのクッション効果を高めます。
固定性補綴物
光重合レジンを前装する単冠フレームワークへの修飾PEEKは、金属アレルギーケース、筋力が強い、パラファンクションがあり、支台歯が弱いケースなどへの使用が示唆されています。継続歯のPEEKフレームワークに光重合レジンを前装する方法は予知性のある結果です。WagnerらはPEEKテレスコープ外冠と、コバルトクロムコーピングのテーパーと製作法の違いによる維持力を検討しました(図4)。0度テーパーのミリングクラウンは最も低い維持力でした。製作方法は1度、2度テーパークラウンの維持力に影響しませんでしたが、一方でテーパーは射出成形で製作したPEEK外冠の維持力に影響しませんでした。
CAD/CAMシステムは、より長いブリッジにも使用されます。コンポジットレジンまたはPMMAによるCAD/CAMでのブリッジフレームワークは、同じ材料による従来の製作方法よりも、優れた機械的な性質を有しています。
PEEKは、そういった修復物に用いるPMMAの代替となりえます。CAD/CAMで製作した3ユニットのブリッジは、プレス、ペレット状のPEEKブリッジと比較して高い引張り強さを有しています。ミリングPEEKブリッジの破折抵抗は、二ケイ酸リチウム(950N)、アルミナ(851N)、ジルコニア(981~1331N)よりも大きい値を示しました。
PEEKは接着ブリッジにも使用されます(図6)。Andrikopoulouらによる臨床ケースでは、口唇裂患者の上顎前歯部を修復するために、レジンをコートしたPEEKフレームワークを欠損歯である側切歯に製作し、残存歯と接着しました。著者らは、PEEKの弾性係数が小さいことが、コンポジットレジンの非ダイレクトな使用と相まって、セラミックやメタルーセラミックによる修復とは異なる利点を生んでいると示唆しています。なぜなら、物性の結果として、咬合力の伝達を減弱化し、接着剥離のリスクが減少するからです。
支台歯がそれぞれ異なる動揺を示す場合のメリーランドブリッジに、修飾PEEKの使用が提案されています。PEEKフレームワークによる咬合力伝達の減弱化は、接着剥離の減少と生存率の上昇に寄与するかもしれません。
臨床的な検討事項
前装材料との接着
PEEKと前装材料、たとえばコンポジットレジンとの接着の研究のためにPEEK表面の修飾が多くの研究で行われてきました。シリカコーティングあり/なしでのエアーアブレーションは表面の濡れ性を向上し、。硫酸エッチングは、表面を粗く化学的に変化させ、疎水性レジンとの接着をより効果的にします(剪断接着強さ 19.0±3.4MPa)。
60~90秒間硫酸でエッチングした場合、37度28日間水中浸漬後のレジンセメントとの剪断強さは15.3±7.2MPaでした。ピラニア溶液(硫酸と過酸化水素の混合物)でのエッチングとボンディング材の使用では、PEEK材とコンポジットレジンとの引張り強さは23.4±9.9MPaでした。
Keulらは、表面をリン酸またはアルゴンプラズマで処理することを提案しました。フッ化水素酸と50μm酸化アルミナによるエアフローをした表面と比較して有意に接着強さが大きかったためです。レジンセメントであるSE Bond、Clearfil AP-Xは、RelyX Unicemと比較して有意に大きな接着強さを示しました。
Kernらは、エアーアブレーションと、メチルメタクリレート含有のプライマーであるLuxatemp Glaze & Bondの使用を提唱しました。一方、Uhrenbacherらは、エアフローまたはリン酸エッチングまたはvisio.linkやSignum PEEK Bondなどの接着システムの使用により、満足な接着が得られると述べています。
Stawarzykらは、3ユニットの前装済みPEEKブリッジの耐荷重性に与える表面処理の影響を検討しました。その結果、エッチング、ボンディング方法で有意差は認められませんでした。しかし、シグナムコンポジットレジンで前装すると、シグナムセラミックで前装するよりも耐荷重性が大きいという知見が記載されているのが重要です。荷重後にPEEKフレームの破折は起こりませんでしたが、前装材料のチッピングは起こったケースがありました。Stawarzykらの他の研究では、酸エッチングはレジン前装PEEKのボンディングに最も適切であると述べています。上記の研究では、PEEK表面の接着のための表面処理プロトコルについては一致していませんが、全体的な結論として、PEEKはコンポジットレジン前装を行うコーピング材として安全に使用できます。
長期使用による変色
Heimerらによる変色の研究では、赤ワイン浸漬後に蒸留水とクロルヘキシジンに貯留したサンプルでは、最低限の変色と報告しています。キャリー液(??)が最も大きな変色を引き起こしました。特に、PEEKはレジンやPMMAと比較して色変化が少なかったです。顔料の除去に最も効果的だったのは、超音波洗浄とエアーフロープラスでした。最も効果が低かったのは、柔らかい歯ブラシや中硬度の歯ブラシを使った予防ブラッシングと、サンスパークル・プロフェッショナル・クリーニング・システムでした。著者らは、色々な食事から変色の可能性があることを患者に知らせことを提案し、歯磨きによる個人的なクリーニング、マイルドパウダーを使用したエアーポリッシングによるプロフェッショナルクリーニング、超音波洗浄などを用いた洗浄をアドバイスしました。
クリーニング方法
HeimerらはPEEKの清掃方法について研究し、ソフト、ミディアムハードの歯ブラシ、音波ブラシによる清掃、シンプロ、サンスパークリングシステムと超音波洗浄による洗浄、ペリオソフトスケーラー、ソニクシス、エアーフローコンフォート、エアーフロープラスによるプロフェッショナルな予防処置を提案しました。プロフェッショナルな酸化アルミニウムによるエアーポリッシングは安全ではないと考えられています。
その他の研究によると、エアーポリッシングとジルポリッシュペーストによる研磨は、表面を粗くし、プラークを保持しやすくなります。Sturzらによると、PEEKにDMAナノ成分をコーティングすることで、研磨後の接触角の増加を抑えることができます。結論として、PEEKへのそのような研磨材の使用は避けた方がよいでしょう。
他の材料とPEEKの比較
PEEKは生物学的、耐衝撃性ポリマー素材で、メタルフリー修復に使用されます。アレルギー反応または腐食の可能性を低減します。
比重量が小さいため、メタルに比べて修復物が軽くなります。セラミックフレームワーク材料と比較すると、PEEKはストレス吸収効果を発揮し、壊れにくい唯一の材料です。骨の弾性係数と近く、歯周組織を喪失したインプラント修復への使用も考えられるかもしれません。
PEEKは生体適合性を改良し、整形外科分野で広く使用されています。口腔内では、プラークがつきづらい、吸水性が低い事が利点となります。しかし、この材料の表面研磨が、グレージングされたセラミックや工業的に加工されたチタン部品と比較できるかどうかは疑問です。
PEEKフレームワークは、従来の方法でもCAD/CAMでも、セラミック材料と比較して安価に製作することができます。光重合タイプの前装材料を使用すれば製作過程を単純化でき、時間とコストを軽減します。
他の大きなPEEKの臨床的利点は、修復物を除去せずにチッピングのような前装部の修理が可能であるということです。
まだ検討されていない臨床的な課題は、PEEKフレームワークの疲労強度についてのin vitroの研究が殆ど無い事です。前装材料とPEEKフレームワークの長期的な接着強さについてもin vitroとin vivoの両者で確認する必要があります。最後に、新しい材料として臨床的な使用が推奨される前に、PEEKの臨床的なパフォーマンスを長期的なトライアルで検討するべきです。
結論
PEEKは生体適合性材料で他にも好ましい特性をもっています。そのため、歯科の色々な治療オプションとして使用できます。研究、臨床データでは、口腔内でのPEEKの使用について良い結果を示しています。PEEKを歯科修復治療の成功に有効な代替バイオマテリアルとして確立するためには、現在のデータをさらに分析し、知識のギャップを特定して探求する必要があります。
まとめ
今回の論文は、前回の論文と英文が完全に同じ部分が少しありますので、著者が被ってるのかと思ったんですが、被ってはないんですね。他論文の引用の所なので、文章が近くなることはあっても完全に同じになる事はあまりない気がするんですが、これはどういうことなんでしょうね。どちらにしても文章が同じなので、訳も統一させていただきました。
さて、今回は2019年の論文ですが、PEEK単冠の話は全く無く、あくまで固定性補綴物として使う場合は、PEEKはフレームワークとして用いられており、その上にコンポジットレジンを前装しています。つまり、この論文だけからPEEK単一材料としてのCAD/CAM冠を語るのは難しいでしょう.
確かにPEEKは優れた材料であることが文章からはわかります。生体適合性、骨や象牙質と近似した弾性係数などはメタルの修復よりも優位性があると考えられます。摩耗耐性が高いことから、PEEK単冠で使用しても大丈夫という根拠になるでしょう。しかし、前回、今回の論文から、日本以外では前装しないPEEK冠を口腔内に装着するという発想がない可能性があります。海外の状況がわからないので、これについてご存じの先生に教えていただきたいところですね。
結論の最後に「最後に、新しい材料として臨床的な使用が推奨される前に、PEEKの臨床的なパフォーマンスを長期的なトライアルで検討するべきです。」という一文があるのですが、長期的にすでに検討された論文があるのでしょうか。臨床的な研究を次は読んでいこうと思っています。